一枚の写真から ('99.11/15)

< 海辺の町の記憶 >




ギャラリーへ登録した1枚の写真。
海へと続く小路の写真を見て、とても心の琴線に触れたと、 ある方が感想を寄せてくださいました。
その後、心の中の影像により近づけるためのレタッチを施した 画像をメールで頂きました。
それが、この写真。



【 レタッチ by kochanさん 】


写真を通じて共有した内的世界の投影が、白黒に部分的に残した色の効果で くっきりと浮かび上がっています。
そうか、こういう目でこの写真を見てくださったのだなと感動しました。

その後のメールによる交流の中で、ひとつの事が明らかになりました。
その方と私が、東京から遠く隔たった同じ町、瀬戸内海に面した穏や かな海辺のとある町で、少年期を過ごしていたという事実。
二人とも同じ原風景を抱えていた、その結果なのかと得心しました。

その人は、小学校5年まで。交代するかのように私が5年生から高校卒業 まで。入れ替わりの間には、10年の歳月が挟まっています。
なかなかの「相当な」ガキ大将ぶり、尽きることのない鮮やかな子供時代の記憶と エピソードを綴ったメールを受け取りました。
もう私の時代には失われていたような鮮烈な子供時代の記憶ばかりです。
生きてきた濃さが、まるで違うようで、敵わないなと思わされました。
それでも、私も記憶の奥底に仕舞い込まれていた情景の数々が触発され、 想起できました。

生活する場所、目にする映像、言葉、そして Inet。 自分を取り巻く全ての 事象が、相互作用の上に成り立っています。
無限に細やかに、果てしなく広がる蜘蛛の糸。その結果として今の自分がある。
シンクロニシティ、ミラクル・コインシデンス、などと形容するほどの オオゲサなものでは無いのですが、それでも私にとっては蜘蛛の網 に結ばれたひとつの節点、貴重なノードとなった1枚の写真でした。



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