青いコスモス

絵・文  あやか 作 (10才)

第1章

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青いコスモス

私は、しらぬまに船に乗っていた。木で出来た小さな船だったが、とても丈夫だった。水がキラキラ光っている。船はそんな小川の上をすべるようにすすんでいく。どうくつが前方にあった。吸い込まれるように入って行った。どうくつの中には、ふしぎな空間があった。両側には、コスモス畑が広がっている。こいピンク、うすいピンク、白、黄色。
「あれ、今は秋だっけ?」と一人言をつぶやいた。
と、次の瞬間、私は自分の目をうたがった。すみの方に一輪、青いコスモスがあったのだ。そこの根っこの方だけ水が青くなっている。淡く輝いていた。船は青いコスモスの方へ進んでいく。そっとその花にふれてみた。そのとたん、まぶしく光り出した。私は思わず目をつぶった。

気がついたのは、やはり船の上だった。まったく同じ船だった。コスモス畑の中を通っている。ふと上を見上げた。私は、目を見開いた。なんと、一面の青空だったのだ。
「どうくつに入ったはずなのに・・・」

大空へ

真っ青な色。おどろいて空を見上げていると、船の底がうかび始めた。横を見ると船に羽がついていた。真っ白くて、日の光を受けかがやいていた。風を切って上へ上へ登っていく。落ちないかと少しこわかったが、それをのぞけばとても気持ちがいいものだった。
鳥もとんでいる。下には、一面のコスモス畑。よそよそと風にゆれている。そして船はぐんぐん上に登っていくのだった。002.jpg (22614 バイト)

雲の上の国

船は一瞬、雲をくぐり抜け、その上にフワリとおりた。私はそっと船からおりてみた。
「落ちるかもしれない」と思ってたのに、ちゃんと歩けた。
フカフカして、まるで綿の上を歩いているようだった。
なんだか飛べそうな気がしてフワッとジャンプしてみた。
と、そのとたんバサッという音がして、あわいピンクの羽が生えていた。
飛び上がるとものすごいスピードで行きたい方向へ行ける。
ずっと遠くの、かすんでいる方へ飛んでみた。

雲たちの町

少し疲れて休み、目をつぶった。そして目を開いたら−−−。
雲で出来たような子どもたちがのぞき込んでいた。
私は背中に手をやってはっとした。羽がない。
立つと、雲の子どもたちは後ろの方に飛んでいった。
私もついていこうとしたら、羽がまた生えた。そして全速力で追いついて行った。
たどり着いた所は、うすーい色のついた家が並んでいる小さな町だった。雲の人たちが道を歩いている。子どもが遊んでいる。公園もある。いかにも「平和」な町だった。少し歩き、この町を見てまわることにした。「花の道」というアーチをくぐって、はっとした。細長い池にはさまれた道なのだが、その小川にはあの青いコスモスが何千本、何万本と咲いていたのだ。水も、もちろん淡くかがやく青い色だった。
見とれてアーチの中へ入った。とても澄んだ空気に包まれた気がして、力がぬけていく。フラっと立ちくらみがして、コスモスの池へたおれこんだ。
「バッシャーン」というものすごい音がして、泡と水の中に私はいる。それだけを考えていた。ふっと甘い香りがして、私は眠ってしまった。−−


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わが家

気がついたら、自分の家のソファーに寝ていた。あれ、さっきまでのことは夢?
夢にしてはいやにはっきりしている。羽が生えたこと、青いコスモス、雲の子ども、船−−−。
すべてしっかり覚えている。
私は自分があるものをにぎっているのに気がついた。そっと手を開いてみる。そこには青い宝石、緑の宝石、黄色の宝石がコスモスを描くようにカットされはめ込まれた、ペンダントがあった。
「夢、じゃないの?」
ペンダントを見つめた。そうしたら全てが伝わってきた。このペンダントは、向こうの世界へのカギのようなものだったのだ。
「これを付けて眠れば、あの世界へ行ける」

私はそうつぶやいていた。

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